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2011/07/29

[小松左京]昔の女

数々のSFの大作を世に送り出した小松左京氏だが、彼の短編の中に、いわゆる「女シリーズ」といわれるものがある。
「昔の女」「待つ女」「湖畔の女」「歌う女」「秋の女」「旅する女」「流れる女」「無口な女」「ハイネックの女」「写真の女」などなど。その中で特別好きなのが「昔の女」だ。

京都で珍しく体があいた主人公が訪れた北山杉の村、中川部落。そこで出会った紫紺の和服の女性。彼女から「新さん・・・・・・」と声をかけられる。見知らぬ女性。しかし主人公の口をついて出たのは。「勢以さん・・・・・・」という言葉だった。とり憑かれたように二人は岡崎の宿の離れで熱い一夜を過ごす。
「月やあらぬ、春や昔の春ならぬ、わが身一つはもとの身にして・・・」
見知らぬ二人を出会わせ、引きつけたのは、この在原業平の歌だった。

この作品を読んだ後、そんな出会いを密かに期待しながら、ひとり北山を歩いたことがある。勿論、何事も起こらなかったのだが・・・・・・。

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