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2011/07/29

[小松左京]「待つ女」

「女シリーズ」の中で一番の秀作だと思っているのが、『待つ女』。

ふとした縁で自宅の離れに住むことになった、妻の友人の田所さんという女性。ある日、田所さんが寝巻きを裏返しに着ているのに気がつく。
「“いとせめて……”ですか」と声をかけると、顔を真っ赤にする田所さん。
昔、女学校の寮などで、就寝の時寝巻きをわざと裏返しに着て、
いとせめて恋しき時はむば玉の
夜の衣をかえしてぞ着る
という素姓法師の歌を三度唱えて寝ると、好きな人、恋しい人の夢が見られる、というまじないが流行ったのだそうだ。
夜な夜な、近所の家の犬の鳴き声がうるさい。ある夜、離れでひそひそと話し声が聞こえる。妻が田所さんを問い詰めると……。
田所さんが“いとせめて”で会っていたのは、「薫大将」だったり、「光源氏」だったり、「業平朝臣」だったのだ。

戦後の女性の急激な変わり方の中で、古い大正期の女性の持っていたしっとりとした女の情……、そんなものへの回想と憧れ。
この『待つ女』と先の『昔の女』には、氏のそんな感情が見えてくるのである。

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